Monday, November 27, 2023

内海聡 『テレビが報じない精神科のこわい話』

 内海 聡 & くらもと えいる. (2018). テレビが報じない精神科のこわい話 : まんがで簡単にわかる! : 新・精神科は今日も やりたい放題. ユサブル.

「薬の服用後なぜか死にたくなった どうして飛び降りたか覚えていない そんな証言が自殺からの生存者たちから寄せられたんです」
[遺族への聞き取り調査で]対象となった1016人の自殺者のうち、精神科を受診・治療中だった人は701人で、69.0%を占めました。さらに08年1月以降では883人のうち632人と、71.6%にのぼっています。そのうち自宅マンションから飛び降り自殺を図ったケースでは100%、つまり全員が向精神薬を服用していました。
…抗うつ剤と覚醒剤は類似物質なのですから、飛び降りたいという衝動に駆られるのも、まったく不思議なことではないのです。(p.p.56)

「売りたい薬 売りたい人間 その薬を処方して じわじわ薬を増やして 長く通わせて儲けたい人間 その集大成が精神科医療だと私は思っています」
ここで重要なポイントは、本人が自殺目的で大量服用したのではない、ということです。…主治医の精神科処方を守り、決められた通りに飲んでいたら不審死に至ってしまったということなのです。…これほど危険であるにもかかわらず、製薬会社と精神科医が儲けるために精神薬は使われ続けています。(p.p.79-80)

Thursday, October 12, 2023

Ana Beatriz 『あなたの日常に潜む、異常人格者 サイコパシー』

 Silva Ana Beatriz Barbosa and 宮城 ジョージ. サイコパシー = Psychopathy : あなたの日常に潜む 異常人格者 : 現代社会に野放しにされた捕食者たちよ. ヒカルランド 2016.

権力を奪い取るための5つの計画とは?

計画その1 会社に入る

計画その2 現場をじっくりと観察する

計画その3 周りの人と事実をマニピュレート(操作)する

計画その4 不必要な人を切り捨てる

スーツとネクタイ(昇進)を手にしたサイコパシーは、ここまでたどり着くのに利用していた人を切り捨てる。目標が達成されればもう用はないからである。自分の獲物が何も言えないようにするために弱みを握り、歯向かえば恥をさらすと脅すのである。そのためサイコパシーに利用された人ほど、その事実について触れたがらない傾向が強い。


計画その5 権力を奪い取る


(p.p.124-127)

Thursday, June 8, 2023

青山透子『日航123便墜落事件 JAL裁判』

 青山透子. Jal裁判 : 日航123便墜落事件. Tōkyō: 河出書房新社; 2022.

一九八五年八月一二日に墜落した日航123便のボイスレコーダーとフライトレコーダーは、八月一四日に墜落現場の群馬県上野村御巣鷹の尾根山腹斜面下五〇〇メートルの沢で発見された。そしてその日の深夜、午前零時半に設置された運輸省(当時)事故調査委員会事務局で保管された。当日の記者会見において、再生装置や特殊電源が必要であるため、解析開始は一六日以降になると発表された。ところが未解析であるにもかかわらず、『毎日新聞』(一六日付)が後部圧力隔壁破壊説という飛ばし記事を出した。その直後にボーイング社はそれを否定し、日本航空も社内で独自にコンピュータによる解析を行った。その結果を受けて一九日に河野宏明整備部長が科学的根拠に基づき、「何らかの外力で垂直尾翼が折れ、それに伴い隔壁が傷ついた可能性」を記者会見で発表した。この時すでに、後に発表された事故調査報告書の付録研究資料に書かれている「異常外力の着力点」の存在を日本航空が示唆していたことになる。


 ところが、日本航空が外的要因の可能性を発表した翌日、運輸省の大島航空局技術部長が、圧力隔壁に重大な絡みがあると、何の根拠もないまま発言している。まだボイスレコーダーやフライトレコーダーが解析途中であり、この発言には政府側がもっていきたい方向性が表れている。しかしこれも次の日、現場で実際に出向いて調査を行っている事故調査委員の「隔壁に大きな穴はなかった」という発言で否定されている。いずれも各社新聞報道に明確に書かれている。(p.p.76-77)


現物のボイスレコーダーに基づいて作成されたはずの事故調査報告書では、聴き取り不能という理由で意味不明の箇所が随所にあり、果たして聴き取りにくいほどの雑音が入っているのか、または航空自衛隊が分析と称して、後から加えた雑音なのではないだろうか、という疑念が存在する。なぜならばいくら損傷が激しいといっても、その心臓部にある録音テープは、耐熱や耐衝撃構造のカプセルに収納されており、1100度の温度で三〇分間、1000Gの衝撃に0.011秒耐え、海水、ジェット燃料の中に48時間おかれたとしても浸らないのである。従って、過去様々な航空機事故のボイスレコーダーは、日航123便よりも苛酷な状況下にあったものも多数あったが、それでも突然会話の途中に雑音が入ることはなく、日航123便のボイスレコーダーだけが雑音が多いというのはそもそも不自然である。操縦士たちの会話の背景音も一定のままずっと継続した音が録音されているのが通常だ。

 ...特に、当該飛行機を操縦していた自衛隊出身の高浜機長の会話に、全体の流れから考えても不明な部分が多く見られる。不都合な部分を雑音で聴き取れないよう意図的に作成したものを公表して、世間に知られたくない会話を隠していると言われても仕方がない。


日航123便墜落事件以降は、[日本航空幹部候補生の新入社員教育として]この自衛隊への入隊研修が突然行われなくなった、という。...驚くべきことに毎年続いてきたこの訓練がなくなったきっかけが、日航123便であるというのだ。

 その時の新入社員の教育担当者から出た言葉は、きくところによれば「日航123便墜落は自衛隊がやったのである。だから今後、自衛隊体験教育は行わない」という衝撃の事実であったそうだ。

(p.80)


結局のところボーイング社の売り上げは、1985年に過去最高となって、最高益を上げた、...『日本経済新聞』には、大量の死者が出ても最高益、という皮肉な見出しの記事が掲載された。一方、日本航空は、一時的に株価が暴落したが、政府が所有する株式放出と民営化の思惑によって、こちらも株価が1985年度末に最高値となっている。(p.84)

それにしても、どこに修理ミスを犯した会社の軍用機や民間機を大量に購入する国があるだろうか。しかも、日本政府は、ANAにまでボーイング社を購入するように働きかけた。

(p.83)

Wednesday, May 24, 2023

青山透子『日航123便 墜落の波紋』

 青山透子 author. 日航123便墜落の波紋 : そして法廷へ. Tōkyō: 河出書房新社; 2019.

[英国での会議で]私が指摘した主な疑問点は次の通りである。

1. 検死担当医師が示した客観的所見によれば、遺体が二度焼かれているということ

2. 炭化状態が著しい遺体が三分の一ほどあり、通常では考えられないほど骨の芯まで焼かれていること

3.目撃情報が書かれていない事故調査報告書の内容と実際の目撃者の目撃情報に整合性がないこと

   [...]

4.  目撃者が多数いるファントム2機をいち早く墜落前に飛ばし、日が沈む前のまだ十分明るいうちに墜落場所まで日航機と一緒に飛行していたこと、墜落まで見届けて場所を特定した自衛隊はお手柄であって、何らそのファントム機を墜落前に飛ばしたことを隠す必要がない。… (p.75)



当時の事故調査委員長(武田峻氏)は、十名の遺族に海底捜査を早急に行うように詰め寄られた際に、

「あのですね、お金がないというせいではないのですよ。お金の問題じゃない。海底から事故調査結果と違うものが引き上げられたら困るからですよ」と叫んで、居直ったそうだ。そのことを当時のその場にいた遺族から伺ったのである。事故調査委員長のその一言があまりに想定外であったので皆が唖然として凍りついてしまったという。

(p.p.78-79)



遺族の吉備素子氏(『墜落の新事実』第二章参照)に詳細なインタビューを行った時、

①なぜ、日本航空社長(高木養根氏)は自分と面談した際に「(首相官邸に行けば)殺される」と極度に恐れて動揺していたのか。

②なぜ、事故原因を追究すると米国と戦争になると河村一男氏(群馬県警日航機事故対策本部長〔当時〕)が言ったのか。

③なぜ、その河村氏が県警を辞職して大阪で再就職をし、時折電話をかけてきて、自分を見張っているような口ぶりで自己原因を追究しないよう圧力をかけてきたのか。

最低でもこの三点が彼女の疑問であった。  (p.p.108-109)



御巣鷹山域の通称一本から松に第4エンジンがひっかかり、最後はそれが原因で墜落した、というのが群馬県警の現場検証の結論だが、このから松の存在は米国の調査資料には一切出てこない上、現場検証の結果も書かれていない。

…樹齢二百年と言っても、その根本ではなく、先の細くなっている上の部分に激突というのである。ちなみに、ジャンボジェットのエンジン一基の大きさは全長4メートル、直径3メートル、重さ7トン(普通乗用車七台分)だが、この貧弱な木にひっかかったぐらいで、これほどまでにエンジン側が木端微塵にバラバラになるのか大きな疑問が残る。

この件について工学関係や力学関係の研究者に見せたとき、群馬県警発表のから松の写真を見て大笑いされた。木の側が折れているのだから、力学的にも木のほうが簡単に負けているわけである。頑丈な鉄塔ならばまだしも、木の上部に接触したぐらいで、巨大なエンジンが細切れに跡形もなく、バラバラになる理由が、逆にわからない、とのことだった。当然のことながら、その直後の墜落時に巨大な岩に激突した場所から、他の三つのエンジンはある程度の形をとどめたまま発見されているのである。

事故調査報告書でも、第4エンジンのバラバラ事件について辻褄の合う説明は全くなされていない。

英国でお会いした航空機事故調査の専門家のD氏の言葉が浮かんでくる。

「なんとでも書くのですよ、相手側はね」。本当にそうである。 (p.p.134-136)



…目撃者の証言どおり、2機のファントム機を見た時間を時系列に沿って並べてみると…

18:35 静岡県藤枝市上空 日航123便を追いかけて山の稜線ギリギリの超低空飛行

18:40 群馬県吾妻郡東村上空(群馬県北西部)ファントム2機を自衛隊員が目撃

18:45〜54頃 群馬県上野村の住民、子供たちが日航機とファントム2機を目撃。数分後に2機のファントムが埼玉方面へ向かったのを目撃  


…上野村では赤い飛行機(赤い物体)が目撃されており、赤い閃光や爆音、雷のような音など、多数の爆音と轟音が聞かれている。

現場状況からも、木端微塵の状態になった第4エンジンが、なんらかの武器によって破壊された形跡があるという疑問はぬぐえないのである。 (p.p.140-142)


Monday, April 10, 2023

紺野大地:池谷裕二 『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか』

紺野大地 池谷裕二 紺野大地 1991- & 池谷裕二 池谷裕二. (2021). 脳と人工知能をつないだら 人間の能力はどこまで拡張できるのか : 脳ai融合の最前線. 講談社.

「念じる」だけでロボットをあやつる

50年以上前に始まったBMI (Brain Machine Interface)の研究は、まずマウスやラットから始まり、徐々にサルへと進んでいきました。その後、安全性に十分に配慮しながら着実に研究は進んでおり、2012年の時点では人間の患者さんにおいて、念じるだけでロボットアームを動かし、ペットボトルの水を飲むことに成功しています。
最近では車椅子やロボットをあやつるだけでなく、考えていることを直接文章にしたり、他の人が見ている夢の内容を見たりすることもできるようになってきています。(p.p.43-45)

患者に短文を音読させ、その間の脳活動を記録するという一連の流れを繰り返すことで、人工知能は「こういうことを話しているときには、脳はこういった活動をする」という関係性を学習していきます。人工知能がこの対応づけをきちんと学習することができれば、その人工知能を逆方向に用いることで、その人の脳活動から文章を予測することができるようになります。
…そしてこの研究がさらにすごいのは、「文章を音読せずに頭の中で思い浮かべるだけで、その文章を予測できるようになった」という点です。これが可能になったのは「文章を音読しているとき」と「文章を声には出さずに思い浮かべているとき」の脳の活動が似ているからです。
最終的にこの研究では、「頭の中で考えていることを文章に翻訳する精度」が最大で97%に到達したと主張しています!(p.p.69-70)

先ほどの「考えていることを文章に翻訳する人工知能」のときと同じように、「こういう夢を見ているときにはこういう脳活動をしている」という関係をひたすら蓄積することで、人工知能は脳活動と夢との関係性を学習していきます。
人工知能が一度この対応づけを学習してしまえば、今度は逆に「脳がこういう活動をしているということは、この人はこういう夢を見ているはずだということが予測できるというわけです。
…この研究を行なった神谷先生らのチームは、最近は「頭の中にあるイメージをそのまま画像にする人工知能」を開発中です。(p.p.75-77)

Wednesday, March 29, 2023

崎谷博征 『今だから知るべき!ワクチンの真実』

 崎谷博征. (2021). 今だから知るべき!ワクチンの真実 : 予防接種のabcから新型コロナワクチンとの向き合い方まで. 秀和システム.

新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、その80%以上は症状を出しても軽い感冒症状(軽度のインフルエンザウイルス感染症状)で終わります。一方で、新型コロナウイルスに対するワクチンは、今まで臨床応用を許可されていなかった新種の遺伝子ワクチンの接種が、十分な検証がなされないまま2020年12月に英国からスタートしました。そして、案の定、本編でもご紹介するようにアナフィラキシーショック、脳炎などの重篤な副作用や死亡例が日夜報告されています。

そして、英国のメインストリームのメディア(MSM)であるCNNでさえ、2021年1月30日の記事で、民主党議員が新型コロナウイルス遺伝子ワクチンの2回接種後に新型コロナウイルス検査(PCR検査)で陽性になったことを報道し、「新型コロナ遺伝子ワクチンは病状を抑えるものであって、必ずしも感染を防ぐものではない」としています。実際は、本編でもお伝えするように、症状を抑えるという確たるエビデンスも臨床試験の中間解析で示されていません。

つまり、今回の新型コロナウイルス遺伝子ワクチンの予防接種を受ける場合のメリットは、現在のところ感染予防にならない、症状も抑えないことから何もないことが明確です。一方の遺伝子ワクチンの短期的リスクは、高齢者だけでなく、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用や死亡例は若い世代でも起こっています。長期的なリスクはまったく検討されていませんが、新型コロナウイルス遺伝子ワクチンのRNAは、長期的にアルツハイマー病や狂牛病などをひき起こす異常たんぱく質(プリオン)を形成させることも報告されています。

(p.p.1-3)

     *****

私たち医師が信頼を置いてきた有名な医学雑誌は、今回の新型コロナウイルス感染に関しては、完全にサイエンスをかなぐり捨て政治化してしまいました。現在でも、毎日夥しいフェイクサイエンスが掲載され続けています。

…2004年には『ランセット』誌の編集長が自ら、「医学雑誌は製薬会社のための情報ロンダリング部門である」という的確な表現をしています。2005年にすでに「医学雑誌は、製薬会社のマーケティング部門である」と題する論文が発表されたくらいです。

…製薬会社は、この有名な医学雑誌に掲載した論文(もちろん自社の商品に効果があったという内容)を億単位の資金を投入して、医師をはじめとした医学研究者に配布します。その効果が、何千ページの広告にも匹敵することを知っているからです。医師は通常は通常業務に忙殺されているため、配布された論文を精読することはほとんどありません。あったとしても、それはその医師の専門分野に限定されています。医師や研究者たちは、その有名医学雑誌の名前を見ただけで十分信頼に足るという印象を持つため、簡単に洗脳が可能になります。

一方で、製薬会社の商品についてマイナスの結果となるものは、公表されません。独立機関がマイナスの結果を公開したとしても、すぐに圧力をかけられて、論文撤回 (targeted retraction)されています。[The International Journal of Vaccine Theory. Practice, and Research, 1(2), Januruary 4, 2021. 他]

…ワクチン有害事象報告制度(VAERS)は、過少申告が著しいもので、ワクチンの副作用の実態を反映していません。(p.p.36-40)

     *****

病気投資家 [dideases investor] とは、事前事業と称して税金のかからない財団から、医薬品やワクチンに投資して莫大な収益を上げている権力者のことを指します。その典型例が、ロックフェラーによる医薬品パテント(特許)とビル・ゲイツによるワクチンパテント(特許)です。…(現在はこれに遺伝子特許が加わる)。

彼らは、20世紀に入ってから健康の概念を大きく変えました。…

1.老若男女に病気を拡散した(ジャンクフード、ワクチン、医薬品、電磁波etc)

2.医療の倫理やモラルを利益相反(医師や研究者に利益供与する)によって徹底的に破壊した

3.良識のある、あるいは能力のある独立した研究者を徹底的に排除した

4.慢性病をもつ、薬依存社会を作り上げ、人口削減および思考できない従順な労働者を大量生産した

5.税金を病気投資家へと移転した

(p.p.240-241)


米国国防省やビル・メリンダ財団などの新興ウイルス研究がすでに10年以上前から行われていたことが複数の研究論文で確認できた…。

2015年には、SARSコロナウイルスの細胞接着(スパイクタンパク質)遺伝子を編集した人工コロナウイルスでヒトの気管支・肺の培養細胞およびマウスの肺に感染させて病原性を発揮させることに成功しています。[Not Med. 2015 Dec; 21(12):1508-13.] …米国でもこのような研究が、2014年に表向きには禁止されていましたが、2017年には再開されています。(p.259)


Friday, December 30, 2022

江川紹子 『勇気ってなんだろう』

 江川紹子 1958-. (2009). 勇気ってなんだろう. 岩波書店.


「信念をつらぬく ― 仙波敏郎さん」

本当は、捜査のために使われているはずの税金が、飲食や遊びや一部の幹部の懐を肥やすために使われるなど、こんなインチキが許されていいはずがありません。道徳的にいけない、というだけでなく、これは明らかに犯罪です。

ニセの領収書を書けば、刑法の私文書偽造罪。それを使って公金を引き出せば、業務上横領や詐欺といった罪に問われるはずの行為です。(p.89)

警察の裏金が問題になったのは、愛媛県警だけではありません。全国各地の警察で、経理の不正が問題になり、裏金作りについて元警察官が具体的な証言も行っています。(p.86)

[ニセ領収書の作製を仙波さんが]拒否していると転勤を命じられました。転勤先でも、ニセ領収書を書くように迫られました。断ると、また転勤。一六年間で九回も異動を命じられました。(p.93)

警察担当の新聞記者に裏金問題を話したこともありました。しかし、記者たちの反応は鈍く、記事にはなりませんでした。(p.p.95-96)

[告発を妨害するため]警察も動き出しました。仙波さんが恩義を感じている上司に説得させたり、警部補への昇進をほのめかしたり、あるいは仙波さんを尾行してあら探しをするなど、いろいろな形で気持ちを揺さぶろうとしました。(p.101)

[記者会見で告発後]仙波さんは制服警察官の象徴とも言える拳銃を取り上げられました。職場から離され、二日間にわたって取り調べを受けました。そして…配置換えとなったのです。…仙波さんには何の仕事もありませんでした。…当初は机すら与えられませんでした。

同僚たちは、誰も仙波さんと口をきこうとしませんでした。…エレベーターに乗れば、先に乗っていた人は、最寄りの階で降りてしまいます。途中階でドアが開いても、乗り込もうとした人は、中に仙波さんがいるのに気づくと、慌てて後ずさりして乗るのをやめてしまうのでした。

昼休み、賑やかだった食堂も、仙波さんが行くと、静まりかえりました。空いている席に座ると、その周りの人たちが立ち上がり、食べかけの食事を載せたトレイを持って別の席に移っていきました。…県警本部をあげての仙波さんに対する無視、いわゆる「シカト」が行われたのです。まさに、仙波さんが言う「大の大人がここまでするか、というようないじめ」が展開されたのでした。

それに加えて、長男の事件について報じた古い新聞記事のコピーを添えた、仙波さんを中傷する手紙があちこちに送られました。長男が社会復帰する時には雇ってくれることになっていた会社にも嫌がらせがありました。(p.p.106-107)

警察は、組織的な裏金作りはとうとう認めようとしませんでしたが、若い警察官がニセ領収書を書くように強いられることは、愛媛県警ではなくなりました。

よその県に行った時に、地元の警察官から、「うちにも仙波さんのような人がいてくれれば……」と言われたことがあります。

「あなた自身ができますよ」仙波さんがそう答えると、その警察官は「私には家族がいるので……」と口ごもってしまいました。

仙波さんは思いました。(誰かが行動するのを待つんじゃなくて、みんなが少しずつ勇気を出して、「私も領収書を書かされました」と一斉に言えば、組織は変わるのに)(p.p.113-114)