Saturday, June 25, 2016

鍛冶 俊樹 『エシュロンと情報戦争』

Kaji, T. (2002). Eshuron to jōhō sensō.

 アングロサクソン諸国にまたがるこの通信傍受網は、地の利、経済力、技術力を生かして世界規模で抜群の傍受能力を誇っている。我々の通信のたとえ10%が傍受されているとしても、それは重大なことである。10%の通信傍受はストーカーが女子大生を殺害するにも、小売店競争で商売敵を追い落とすにも十分であろう。まして政治や経済の中枢が狙われれば、一国を滅ぼすこともできる。(p.p.74-75)

Thursday, June 9, 2016

Camellion 『洗脳の科学』

Camellion, R., & Kanechika, O. (1994). Sennō no kagaku.

 読者の幼い子どもにとって、現在最も危険な男は合衆国ナンバー・ワンの行動学者、B・F・スキナーだ。・・・スキナー型の行動主義が、心理学の世界では最大の動きになっている。「操作」というものを善しとするこの新しい改革運動の叫びは・・人々を統制に服従させ・・仕事や教育や家庭やその他生活のありとあらゆる場面に、あたかも癌のように絡みついていこうとするやり方なのだ。
 彼は、虫を見るような見方で人間を見ている。・・自らを主張することのできる認識主体というものまで、すべて否定するのである。・・私たちを管理すべき動物としてしか見ていないということが言える。
・・男にも、女にも、子どもにも生きていく意味や目的や意義がなくてはならないのだ。もしそれがなくなったら人は破滅するしかないのである。・・人を単なる生命のレベルに引きずり下ろそうというのだから、その意味ではB・F・スキナー教授は「精神の抹殺者」である。彼の哲学すべてが「コントロール」ということに連動している。(p.p.32-35)

 行動主義のテクニックが本当に危険なのは、コントロールが利かない点にある。今日の煙は明日の大火となる可能性がある。そういったテクニックは、大衆すなわち消費者の手には入らない。もっともはっきりしているのは、金持ちや権力者・・に対しては、そういったテクニックが使われることはないということである。(p.119)

 人の行動をコントロールするのに電子工学を用いるということは、行動修正という無謀な世界ではそれほどとっぴなことではない。・・体に埋め込んだり取り付けたりしたセンサーから送られてくる情報を遠隔測定するシステムが発達すれば、肉体的接触がなくても・・絶えず被験者を監視し続け、電子的・物理的に干渉して特定の行動に影響を与えたりコントロールしたりできるようになる。もちろん「電子的に干渉して」とは、苦痛を与えて、という意味だ。(p.p.182-183)


 大脳側頭葉にある扁桃体[Amygdalaは]攻撃性や暴力行為を司っているところだ。・・[ところが]視床下部の中かその近辺に、快楽と苦痛の中心―あるいは「回路」―となっている部分が存在する・・・この発見によって行動修正の可能性は無限のものとなったのである。・・・精神的抹殺を目指す支配者の観点から、「理想的な」装置といえば、恐怖、苦痛、不安、そして快楽を引き起こす体内ラジオゾンデであろう。これこそ独裁者が持ちうる究極の「賞罰効果コントロール装置」と言えるかもしれない。(p.191-192)

 picture borrowed from: neilslade.com/gifs/amygdala1.jpg
電子心理学の分野で今[編者註:この書籍の原著が出版された1978年]現在行われている研究は、脳への電気的刺激によって人間の情緒・意識・記憶・行動などを外部からコントロールするという・・・現在の研究は「電気的な力で人の情緒や意識や行動を支配することができる、すなわち押しボタンによってロボットのように人をコントロールできる」(デルガド教授の言葉)という不快な結論を証拠立てている。(p.194)

HEWが資金供与したアラバマ州タスキージーでの梅毒の]実験では、梅毒患者に病気が完治したと信じ込ませておいて、実際には二〇年間も治療しないままにしておいたのだ。もっとも進行した段階の病状を調査するためにである!こういったことは不道徳なだけでなく犯罪的でもある!しかしこれに対しては何の追求もされなかった……。[編者註:主な犠牲者が黒人だったためといわれている](p.162) 

[ほかにも1978年までに]過去一〇年間マスコミは、倫理的諸問題を惹起する多くの実験を公表し議論してきた。若干の例をあげるなら、ブルックリンのユダヤ慢性病病院で行われた高齢者への癌細胞注射、ウィロウブルックでの知恵遅れ児童への肝炎ウイルスの計画的感染・・などである。(p.163)

Friday, June 3, 2016

高橋紳吾 『図解 洗脳撃退マニュアル』 

Takahashi, S. (1995). Zukai sennō gekitai manyuaru.


  マイクロ波は電磁波の中でも極超短波といわれる。・・・フレイ博士は、マイクロ波を脳血管に当てれば様々な薬剤やバクテリアの浸透効果を早めることができ、また心臓へ投射すれば心臓発作も起こせると述べている。・・・マイクロ波を人に向かって投射すると、音(キツツキが木を叩くような音)を聞くことができると発表している(一九六一年)。その際、音を感じるのは耳ではなく、脳の側頭葉だと推論した。(p.152)
 
[超低周波を利用したマインドコントロールの仕組み]
まずAという人物が恐怖を感じるときに出す脳波を記録する。これを超低周波ELF帯に乗せ、Bという人物に投射する。するとBは、そのときどんな状況であるかに関わらず、突然、恐怖を感じてしまう・・・(p.154)
 
トラッキング
アメリカでは刑務所の数が、そこに入るべき人間に比べて圧倒的に少ない。そこで彼らを“自宅に収容”しコンピューターで監視するという発想が生まれた。ゴスが作ったブレスレットは、まさにこれにうってつけだったのだ。
 九〇年代に入ってからは、この電子モニターシステムの監視下にある人物は全米で一万人を超え、しかも同様のシステムはヨーロッパにも普及している。(p.p.147-148) 

ID認識
 固体情報を盛り込んだチップを、体外か体内に装着する・・・チップに入るのは・・名前や銀行口座番号、経歴、指紋など、いろいろなものが考えられる。・・このID認識と、バイオテレメトリ、トラッキングの機能を持つ装置が、知らぬ間に何者かの手のによってインプラントされたらどうなるだろう。常に監視され、弱みにつけ込まれ、利用されてしまう。その恐怖はマインドコントロールに勝るとも劣らないだろう。(p.148)

洗脳の手法
・・適当にスケープゴートが選ばれ、見せしめのため厳罰に処される。また、手なづけた者を監視役として紛れ込ませ、互いが互いを監視し合い、他人を信じられないような状況を作る。
 やがて集団の中に、恐怖を前提とした共同幻想ができ上がる。このような集団心理を利用した恐怖統治によって、彼らはまるごと骨抜きにされてしまうのだ。(p.120)